か行の不動産用語集

解約

法律行為の一つで、意思表示により契約関係を消滅させることをいい、意思表示の時点から将来に向けて契約消滅の効果が生じる。これに対して、契約の解除は、過去に遡って契約関係を消滅させることであるとされ、例えばクーリングオフによる契約の消滅は、解約ではなく解除による効果である。もっとも、解約と解除が混同されることも多い。

解約予告

解約予告とは、当事者のどちらか一方からなされる、賃貸借契約を消滅させるための意志表示のことを指す。賃借人からは事務所、倉庫で3~6ヶ月、住居で1~3ヶ月、賃貸人からは6ヶ月が一般的である。但し、賃貸人からは「正当の事由」が必要であり、立退料等が発生する場合もあるので簡単にはいかないケースである。

基準階・基準階面積

中高層ビルにおいて、基準になる同じような平面を持つ階のことを指し、オフィスビルやマンションなどの建築時に用いられる。一般的に、1Fはエントランスホールやエレベーターホールが広く設置されているため若干狭く、上層階はセットバックしており低層階より規模が小さくなっている事がある。

共用部分

集合住宅やビルにおいて、入居者全員で共有している部分を指す。具体的にはエントランス、廊下、エレベーター、バルコニーなどで、壁や支柱、屋根などの構造部分も共用部分に当たる。共用部分は区分所有者全員で共有され、専有部分の所有面積に応じて共用部分の面積の持ち分を持つ。共用部分に電気や水道が設けられている場合には支払われた共益費で費用を賄う。

グリッドシステム天井

天井の仕上板と天井に設置される設備機器を一体に組み立てる天井を指す。パーテーションや壁を設置する際には、天井の設備を移動する必要がある場合があり、空調や照明設備が天井にあることで工事作業が多く発生するが、グリッドシステム天井では、簡単に移動することができ、工事の軽減・コストの圧縮につながる。

グロス

賃貸借室内の専有部分以外に給湯室・EVホール・トイレなどの共用部分を含む面積を契約面積とする契約を指す。対して、「ネット」は、賃貸借室内の専有部分のみを契約面積とする契約を指す。グロスとネットでは面積が変わる為、実際に思っていた広さとギャップが生じることがあり、注意が必要である。

契約年数

賃貸借契約を締結してから終了するまでの期間を指す。普通借家契約の場合、2年間の契約期間となることが多い。定期借家契約の場合は2年間から10年間となることが多い。

契約面積

契約した面積のことを言い、具体的には、契約書に表記された面積のことを指す。貸室内の専有部分の壁芯計算による面積を契約面積としている場合(ネット)と、トイレなど共用面積を加えたケース(グロス)があるので、実際に使用できる面積を確認した上で契約することが重要である。

原状回復義務

賃貸借契約の終了時に、賃借物の契約期間に生じた損傷を回復する義務を指す。一般の居住用住宅の場合、自然と起こりうる通常損耗や月日の経過による経年劣化は請求されず賃貸人の負担となるが、オフィス・事務所の場合は、基本的に通常損耗や経年劣化は考慮されず、入居した際の状態に原状回復工事を行う必要がある。

更新料

賃貸借契約の契約期間が満了する際に、契約を更新するために賃借人から賃貸人に支払われる金銭を指す。契約期間の満了時に借主が契約の更新を希望する場合、貸主は正当な理由がなければ契約更新を断ることができない。更新料について賃貸契約時から定めることがほとんどで、「重要事項説明書」や「契約書」に記載され、不動産会社からも説明される。

公正証書

個人や法人からの依頼により、公証人が公証役場で作成する契約書・合意書などのことを指す。契約内容の遂行を迫るには判決と同等の効力を持ち、離婚や財産分与、お金や不動産の貸借など幅広く利用されている。強制執行ができる旨の条項を入れれば、相手方が債務を遂行できない状態に陥った場合、訴訟を起こさなくても、不動産・動産・給料などの財産を差し押さえる強制執行ができ、一定の行為を請求する事が可能である。

高層ビル

高さを基準とした高層建物としてのビルの区分のことを指す。現在の日本で「高層建築」と言う場合は、「消防法」、及び「電波法」などにより、31m以上の建物のことを定義している。それよりもさらに高い、高さ100m以上、25もしくは30階以上の建築物は、「超高層建築」と言う。

個別空調(パッケージ)

オフィスビル全体を一括して空調を管理するセントラル空調方式ではなく、各フロアごとに設置されている空調方式のことを指す。部屋ごとに空調のコントロールパネルがあり、オン・オフや、温度の調節、冷暖房の切り替えなどが可能である。セントラル空調はビル全体を管理するため稼働時間が決まっている事が多いが、個別空調は時間が定められていない。

コア

地震などに抗する耐力壁が集まった、建物の構造骨組みの中核となる部分。階段、トイレ、パイプシャフトなど共同部分の集まっている部分で、オフィスビルではトイレやエレベータ等の設備を収めることが多い。ほぼ正形の大型ビルで真ん中にある場合は、センターコアと呼ぶ。執務スペースとコアの動線が短くなり、建物の外側に執務スペースを配置できる為、採光が確保しやすいメリットがある。

合意解除

賃貸借契約を当事者双方の合意に基づいて、契約の効力を遡って消滅させる(契約前の状態に戻す)ことを指す。契約の解除を求める意思が、賃貸人と賃借人のどちらか一方によるものである場合は、合意解除とはならない。